NHKクローズアップ現代が言う「終末期鎮静」の謎
今日のNHKクローズアップ現代は少し異常だった。
NHKのホームページの予告は次のとおりだ。
いま、在宅で療養する末期のがん患者に、「終末期鎮静」という新たな医療が静かに広がっている。耐えがたい苦痛を取り除くために鎮静剤で意識を落とし、眠ったまま最期を迎えるというものだ。最新の調査では、在宅で亡くなったがん患者の7人に1人に行われていたことがわかった。自分の意志で、眠ったまま苦しむことなく死を迎える患者。その一方で、遺族の中には、「“終末期鎮静”に同意したことで、患者の人生を終わらせてしまったのではないか」と悩んだり、罪悪感にさいなまれたりする人もいる。自宅で最期を迎えるがん患者が増える中、終末期の医療はどうあるべきか、考える。
在宅医療では鎮静剤によって患者の7人に1人が死を迎えているという事実に驚いた。
終末期鎮静の要件は次のようである。
1. 耐えがたい苦痛がある
2. 他に苦痛をとる手段がない
3. 死期が迫っている(2-3週間以内)
4. 本人かつ家族の同意がある
終末期鎮静の主な要件。 1:耐え難い苦痛がある 2:他に苦痛をとる手段がない 3:死期が迫っている 4:本人かつ家族の同意 #クローズアップ現代 pic.twitter.com/rf4bdDclky
— jimmy-Juйёcy™☆ (@Knes_suka_630) 2016, 1月 19
終末期鎮静と積極的安楽死何が違うのかというと、次のツイートにある。
終末期鎮静:方法→鎮静剤。意図→苦痛緩和。 積極的安楽死:方法→致死性薬物。意図→死。 積極的安楽死は、死ありきの処置なんだな。 #クローズアップ現代 pic.twitter.com/hnqX0bqhuK
— jimmy-Juйёcy™☆ (@Knes_suka_630) 2016, 1月 19
NHKクローズアップ現代でも濁していたが、終末期鎮静は安楽死とほぼ同じなのではないのだろうか。
なぜなら鎮静剤は打つが、他の医療的行為を何もとらないのだ。
素人が考えても寝ているだけなら点滴だけでも必要だ。
だから、本人および家族の同意が必要なんだろう(番組では本人が元気だった時に何を望んでいたかで、同意がなくても終末期鎮静を実施していた)。
そういった違和感を番組を見ていて感じた。
調べてみると終末期鎮静はNHKが作った造語のようだ。
実際の現場では終末期鎮静は終末期の鎮静治療や苦痛緩和と呼ばれているようだ。
ここ数年間において、自殺幇助の観点から、終末期の鎮静治療が生命倫理における重要な問題として議論されはじめている。鎮静治療に関しては、自殺幇助に関する論争でいずれの側に立つかによって、賛否両論が存在する。鎮静治療は、倫理的な終末ケア、自殺幇助に代わる合法的な処置、時間をかけた安楽死などと呼ばれてきた。
終末期の鎮静治療は安楽死とは次の点が違うようだ(セデーションとは鎮静の意味)。
終末期の苦痛緩和を目的としたセデーションと、安楽死とは以下の三点において異なるものである。
目的:死をもたらすことを目的とするものではなく、苦痛緩和を目的とする医療行為であること。
方法:患者の死をもたらす薬剤を投与するのではなく、苦痛緩和のための薬剤を投与する医療行為であること。
適切に行われた場合の結果:患者の死亡ではなく、患者の死期を早めることなく苦痛が緩和される医療行為であること。
鎮静治療により通常の治療はやめるが、患者本来の寿命を全うしているという点では安楽死とはまた違うととれる。
ただ鎮静治療を行った後は意識が戻るわけではなく、安楽死とどこが違うのかというと鎮静治療される本人としてはどちらも同じだろう。
ここに法の穴を突いた治療行為が横行しているのが実情であり、現場で求められているのだから早い法改正が望まれると思う。
この問題はこの辺りで。
ほな!
追記
NHKから全文が出たのでリンク貼っておきます。
@イサイヤス